Sunday, March 29, 2009

言葉のインフレ


そらとぶねこ/junku

世の中不況だと騒がれているが、お金や物だけではない。
常々思っているのだが、今オレ達の周りはまさに「言葉のインフレ」だ。

先日、某男性タレントさんが「命を削るような演技をしていきたい」とインタヴューで言っていたが、そのタレントさんのヌードやら何やら普段のお仕事を拝見していて、
「はぁ~っ?????、なに言ってんのキミ。」と思わざるを得ない。

「命を削る」ってお前さんは人をどれだけ見てきたのか、その表情からは疑問だ。
人気者がいつの間に「アーティスト」や「俳優」になったのかは知らないが、
君にはあまり相応しくない言葉使いじゃないのか?

世間でこういう言い回しが随分増えてきて気になると思っていたら、一国の首相が曰く。
「どす黒いまでの孤独に耐えきれるだけの体力、精神力がいる」

う~ん、何と言うか・・。
不満もたまっていて、
自分を分かってほしいという思いからだろうが・・・、
下品で幼稚さを感じる言葉だ。

日々自分に怠けずに知性を掘り下げ切磋琢磨していない、言うなれば「浅い」者が、
何となく人が否定できないような「ドギツイ」感じの言葉を憶えて無神経に使いまくり、
「本質を伝えている」つもりになると言うか、自分はすごく大切なことを伝えていると感情で主張する。
それで肝心の内容については雰囲気だけで実は大したものではない。

これが言葉のインフレの構造のひとつだ。
根底にあるのは気を引くこと自体が目的の幼稚さだ。

子供であれば愛らしさ。
大人なら下品でしかない。
確信犯なら笑えるが、本気だから堪らない。
考えや意思を伝えるのではなくて、単なる自己主張ということだ。

残念ながら、音楽の世界にもどこか同じ傾向を見るが、
それはまたの機会にしよう。

蔑まれた言葉を意識してみると
知性の大切さをあらためて感じる。